2018.07.29
現在、ビジネスでは料理宅配サービス「代表例:Uber Eats(ウーバーイーツ)」やメルカリなど様々なマッチングサービスが社会的に大きなインパクトを与えています。
それだけに自社でもマッチングサービスをアプリで作りたいと考えられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インターネット登場以前はこのような世の中のニーズとニーズがなかなかマッチングしなかったのですが、インターネットにより多様なニーズがマッチングしやすい環境ができたと言えます。
はじめてマッチングサイトを開発したい、マッチングアプリを作りたいと検討されている方はマッチングサイトについては以下が関連記事となりますのでご参照ください。
しかし、アプリを作るのが初めてでよくわからない。そんなご担当者の方も多いのではないでしょうか。
アプリ開発が初めての場合、システム開発やホームページ制作と違ったアプリ開発ならではの注意するべきことがあります。
ここでは、はじめてアプリを作ることになった発注ご担当者の方向けに注意するべき12のことを
ごとにご紹介いたします。
どこのプラットフォーム向けにアプリを開発するかを決める必要がありますが、2つの観点で考えます。
・AppleのiOS(iphone)
・GoogleのAndroid
・MicrosoftのWindows Phone
・Amazon アプリ
など様々な大手のIT企業がアプリを提供するための場所を提供しています。
ただし、MicrosoftのWindows Phoneは実質、終了していたり、アプリは配信させるプラットフォームの方針に左右されるため、利用者が多いところをまずは選ぶ必要があります。
利用者が多いという点から考えると選択肢は実質、AppleのiOS、GoogleのAndroidの2つがよく開発されるアプリです。
アプリの開発の予算がある場合にはこの2つのプラットフォームのアプリを開発すれば通常は問題ないです。
アプリの開発予算がそこまでない場合には、iOS、Androidのどちらを開発するかを選択することになります。
日本ではiOSがよく利用されていますが、世界的にはAndroidがよく利用されています。
シェア率をみてみると世界的にはAndoroidが71.9%、iOSが19.1%
日本でのシェアはAndoroidが30.4%、iOSが68.6%
シェア率
となります。
また、課金意欲が高い、年収が高い層はiphoneユーザーに多いと言われています。
このように誰向けに提供するサービスなのかを考えて、提供するプラットフォームを選択する必要があります。
また、新規事業でユーザーのニーズを検証しながら作らないと行けない場合には、iOS・Androidアプリを作らずにWEBのみでユーザーのニーズを検証し、改善を行ったのちにアプリ化するという方法もありえます。
一度、そもそもなんのためにアプリを作るのかという目的をよく考えた上で、プラットフォームを選択することをお勧めします。
アプリの開発を行う場合にはそのアプリのOSのバージョンと端末ごとに発生する違いを吸収するように開発する必要があります。
iOSアプリはアップル社がOSとiPhone端末を提供しています。
一方、Androidアプリの場合は、OSを提供しているのはGoogleですが、端末がXperiaやGalaxyなどメーカー・端末が異なります。
そのため、それらごとに微妙な違いを吸収しながら開発する必要があり、開発コスト・維持コストがかかります。
また、iOSアプリの場合は新しい端末がだいたい一年サイクルで発売されますが、Androidアプリの場合はが3ヶ月ごとに発売されます。
アプリは作った後のバージョンアップも行う必要があるためこれらの維持コストについても考えておく必要があります。
全ての端末、バージョンに対応するのは費用対効果の観点から通常は一定のバージョン以上を開発の範囲としたり、動作保証端末を絞ったりします。
こちらのサイトでは独自の方法で日本国内のバージョンや端末についてのシェアデータがあります。
Android
iOS
ただし、一定の参考にはなりますが、想定しているユーザーが若い方が中心の場合には比較的最近の端末やOSバージョンのみでほぼシェアをカバーできることもありますし、比較的年配の方が対象の場合にはとても古いバージョンのOSや端末を使われていることもあります。
今回作られるアプリの利用環境に近いアプリを開発会社が作ったことがあるようであれば、そのようなデータを確認されると良いと思います。
開発するアプリのジャンルによっては法律を考慮する必要があります。
【特定商取引法】
ダウンロードするのに500円などの売り切り型のゲームの場合にはそこまで関係ありませんでしたが、アイテム課金などをする場合には注意が必要なことが多いです。
値段、支払い方法や時期、商品・サービスの提供時期、契約解除に関する表示なども必要です。
また、アプリの提供を万一終了した場合の対処についても検討が必要となります。
告知なしに終了する場合には損害賠償の問題になる可能性もあります。
【景品表示法】
よくあるのはゲームなどで貴重なキャラやアイテムなどが当たる確率が実際より高く見せる場合には景品表示法違反に該当します。
出会い系に関しては、出会い系サイト規制法という法律があります。
健全なサイト運営が行われるように児童が参加しないこと、不適切な書き込みがないことなど守らないといけないルールがありますので事前に確認するようにしましょう。
アプリの企画担当者がこれらの法律について熟知しているということはなかなか難しいと思います。
では、どうするかですが、実務上、よくやるの法務担当者への確認です。
早めに法務担当などにアプリの概要を説明した上で、注意しないといけない法律について確認をしましょう。
場合によっては思っていた企画や仕様が法律上難しいとわかることがあります。
開発直前に発覚すると大変ですので、企画時点、ある程度仕様が固まった時点、リリース直前など3回ほどタイミングを見て法務に確認するのが安全です。
画像や動画を用意する場合には著作権についても注意が必要です。
企画者側で用意する場合はもちろんですが、開発会社に画像などの素材を用意してもらう場合にも権利関係については確認するようにしましょう。
また、アプリの機能拡張のために外部のツール、フレームワーク、ライブラリを利用する場合についても同様です。
ここでは特に注意が必要な点について記載します。
規約に同意をもらうことはもちろんですが、規約を変更する際にも運営者側の判断で変更可能なようにしておくのが良いでしょう。
個人情報を取り扱う場合は、個人情報の取り扱いについて明記する必要があります。
また、後で説明しますが、iOSアプリの場合のアップル社の審査に合格しないとアプリの公開ができません。
アプリで必要のない個人情報の項目を無駄に取得すると審査に不合格になる(リジェクトされる)ことがあります。
アプリの提供を万一終了した場合の対処やトラブルが起きた際の賠償責任を免除する項目です。
上で記載しました「ゲームやECなど課金機能があるアプリの場合」については特にしっかりと書いておく必要があります。
問い合わせなどなんらかのトラブルがあった際の連絡先を明記しておきます。
利用規約についても法律と同様にアプリの企画担当者が熟知しているということはなかなか難しいと思います。
実務上どのようにすることが多いかですが、似たアプリの規約をいくつか確認し、自分たちの作るアプリ用にドラフトを作ります。
そのドラフトを法務に確認するという形が多いです。
実務上のテクニックとしてはしっかりとした法務が対応していると思われる上場企業や多くのアプリを出している大手の会社の似た規約を参考にするのが良いかと思います。
作り方によりネイティブアプリ(フルネイティブとも言う)、ガワネイティブ(ガワアプリ・ハイブリッドアプリとも言う)があります。
簡単に説明しますと全部アプリの言語で作るのか、一部のみアプリとして作るのかという違いです。
アプリ開発におけるコストとの兼ね合いですが、アプリ部分が多くなるネイティブアプリの方が高くなります。
ただし、アプリ部分が多ければ良いというわけではありません。
詳細は下記をご参照ください。
アプリの作り方について(詳細は記事内の「アプリの作り方における費用」箇所参照。)
上の「利用者から考える」箇所でも少し触れましたが、今回開発するアプリが新規事業でユーザーのニーズを検証しながら作らないと行けない場合には全てをアプリ化してしまうとアプリの改修スピードは遅くなります。
WEBでサービスを作ってビジネスとして成立するのか検証し、その後、ユーザー数増えたり、ビジネスとしてうまくいくことがわかってからそのWEB部分についても使い勝手がよくなるようなUIデザインに変更するためにアプリ化していくというのも一つの方法です。
場合によっては最初のリリースはアプリではなく、全てWEBの方が良い可能性もあります。
一度、アプリを作る目的をよく考えた上で、どこまでをアプリ化していく必要があるのかを検討されることをお勧めします。
また、アプリの作り方によってコストや開発スピードがどれくらい変わるのか、開発業者に確認した上で業者選定するのが良いと思います。
iOS、Androidアプリを作る場合にはそれぞれ開発環境や言語が異なるためそれぞれのアプリを作るためのエンジニアが必要になります。
最近ではReact Nativeでアプリをつくり、両方に対応というやり方もあります。
ただし、まだReact Nativeができる技術者が少ないため、リリース後の運用なども考えると採用するかどうかの判断は難しいところです。
アプリのエンジニアはサーバーサイドのエンジニアに比べると少ないため、リリース後の運用にも困らないような一般的に広く浸透している言語を選ぶことなど言語とのメリット・デメリットを開発会社に確認・相談しながら決めるのが良いと思います。
アプリの開発業者と言えども、アプリのジャンルごとに得意・不得意が大きく異なります。
大きくは以下に分かれます。
(LINE、Facebookメッセンジャー、slackなどのチャット・メッセージサービス、ジモティーなどのコミュニティーサービス、人材紹介サイト、物件紹介サイト、予約サイト、シェアリングエコノミーなどの各種マッチングサイト)
この中で特に注意が必要なのはゲームです。一番難易度が高いです。
ゲームにはいわゆるカジュアルなゲーム(テトリスetc)と複雑な動きがあり、敵や味方のレベルや体力や攻撃力など複雑なパラメーターで作られるゲーム(パズドラ、モンスト、白猫etc)があります。
ゲームアプリの開発は普通のアプリとは違う様々な経験やスキルが必要とされます。
前者でもそういうアプリの開発経験がない業者に頼むのはやめておいた方が良いです。後者も当然経験がない業者に頼むのはやめた方が良いです。
後者レベルのゲームを作る場合には数億円の開発費用が必要になります。
また、専門のゲーム開発会社ですら、何度もつくりなおしたり、リリースが遅れたり、最悪リリースできないこともあるくらい難易度が高い世界ですので、かなりの覚悟が必要です。
次にECですが、ゲームほどの複雑さはありませんが、課金などのカート周りなどの開発など普通のアプリの開発とは違った経験やスキルが必要な分野です。
また、大規模なECになることが想定されるようなECアプリを開発されようとする場合にはそれだけのトラフィックをさばけるインフラのスキルも必要になります。
こちらもECならECの経験、また規模も踏まえて適切な開発業者を選ばれる方が良いです。
toC向けWEBシステム開発については、「作ること」というより、「事業を立ち上げる・サービスを伸ばすこと」(サービスのユーザー数を伸ばしたり、課金率を高めたりするようなサービス設計や使いやいデザインなどのユーザビリティー)が得意な開開発業者を選ばれる方が良いです。
ただし、あまりこの領域が得意な開発会社はありません。理由としては、そのような事ができる人材は開発会社やWEB制作会社にはおらず、通常、リクルートやサイバーエージェントやDeNAみたいな大手の事業会社にしかいないためです。
次点としては、自分たちで自社サービスを運営している開発会社だと良いかもしれませんが、そのサービスが伸びていないと、あまりそこの能力については信用できないかもしれません。
広告についてはアプリの開発スキルというよりはそういうジャンルに詳しいアプリ開発会社と仕事をしないと要件・仕様がまとまらなかったり、漏れが発生する可能性があるのが懸念点です。
ツールなどのユーティリティアプリについては何らかのアプリの開発経験がある開発会社であれば特段アプリ開発における経験やスキルが必要なジャンルではありません。
使い勝手や仕様の抜け漏れがないかどうかは開発会社の担当者のスキルによりますが、できないとなることは少ないと思います。
このようなアプリのジャンルごとの特性を考慮して、アプリの実績を確認しつつ、アプリ開発会社を選定されるのがおすすめです。
弊社は全てのジャンルでの経験者がいます。
特に、新規サービス立ち上げの経験が豊富な、有名事業会社出身者で構成されており、toC向けのサービスを中心とした新規事業立ち上げに伴う開発を頻繁に行っているため、人材紹介サイト、物件紹介サイト、予約サイト、シェアリングエコノミーなどの各種マッチングサイトを得意としております。
その経験を活かした「新規WEBサービスのコンサルティング・開発」のサービスも展開しております。
詳しくはまるで社内の開発チームのように開発を推進できる開発の本質を追求した新規事業のアプリ開発・WEB開発向けサービスをご参照ください。
興味がある方は是非お気軽にお問い合わせください。確実にメリットがある情報をご提供させていただきます。
また、新規事業のアプリ・web開発を検討されている経営者・新規ご担当者の方向けに、開発会社の選び方の資料を用意しております。
「失敗しない開発業者選定 6つのポイント」資料 無料ダウンロードへ
契約時に注意したいのは契約の範囲についてです。
後に説明しますが、アプリには審査があります。
アプリのソースを納品のみを契約の範囲とするのか、アプリの審査についてもやってもらうのか、またアプリがリジェクトされた際の必要な開発についても対応してもらうのかなどの範囲を決めておかないと後々トラブルになります。
通常はアプリのソースの納品をされても発注者側では審査の手順もわからなかったり、手間だと思いますので審査についても開発業者に依頼することになると思います。
後はリジェクトされた際の対応についてです。
ここは難しいところですが、リジェクトのレベルにもよります。
ここの範囲を明確にしていなかったとしても、少々のレベルであれば対応してくれる開発業者もあるかもしれません。
問題は、リジェクトのレベルが大きく機能レベルで発生する場合があるため、そういうレベルでのリジェクトについては事前に契約で詰めておくことをお勧めします。
リリース後の保守についても開発時にある程度詰めておいた方が良いでしょう。
アプリをリリース後にはOSがバージョンアップされたり、新しい端末が発売されたり、不具合以外にも引き続き開発業者に依頼することは発生します。
また、特にtoC向け(法人ではなく、個人向けサービス)の場合には問い合わせの対応なども数多く発生することが想定されます。
この問い合わせの対応について、一次受けをクライアント側で行い、技術的な内容については開発会社に確認し、対応してもらうなど何らかの方針は決めておく必要があります。
クライアント側でも問い合わせの担当者を決めておいたり、自分たちで問い合わせを受けない場合にはどこかのコールセンター業務を請け負う会社に依頼したり、場合によっては開発会社に依頼するなど問い合わせの方針は決めておく必要があります。
通常、保守については開発とは別に契約をすることになります。
開発の契約時に開発会社に保守の範囲や金額について事前に確認しておき、アプリがリリースされるまでには保守契約を結び、問い合わせの体制なども決めておく必要があります。
開発業者を決めた後にはデザインや機能について詳細を詰めていく必要があります。
ここでは主にiOSとAndroidアプリを対象として説明します。
アプリに限った話ではないですが、UI(使い勝手)はサービスを作る上で非常に大事です。
WEBのスマホサイトのUIと違って、アプリの場合には動きを伴う様々な操作ができるがゆえに、決めないといけないことが多く発生します。
例えばですが、スマホサイトのUIだとページ遷移はボタンを押下して次のページを読み込むことになります。
アプリですと、ページの切り替えはフリック(flick)という画面にタッチし、左から右に流した際に切り替わるようにするということもできます。
また、ページについてもアプリの場合には一画面を下にスクロールすることなく、固定で見せたり、ページの読み込みを極力ないような見せ方にしたりも可能です。
アプリならではな使い勝手で統一感をどうだすかなど、アプリのUIは決めることが多いため、思っていたのと違うとならないように開発会社とのすり合わせが大事です。
弊社ではモック(パラパラ漫画みたいなもの)を使って、仕様をお客様とすり合わせることもあります。
iOSはホームボタンがありますが、Androidにはホームボタンや戻る、メニューボタンなどもあり、OSによってボタンが異なります。
iOSも最近の機種だとホームボタンが端末になかったりします。
この辺りのOSや端末による違いをいかに効率よく吸収し、各端末で使いやすいデザインにするかというデザインの設計が大事になります。
iOSとAndroidアプリは審査に合格してはじめてリリースすることができます。
Androidアプリについては申請して、すぐに公開することができますが、注意しなければいけないのは審査が厳しいiOSについてです。
iOSの審査は時期により違いがあります。以前は1-2週間は必要でしたが、最近は2-3日で審査が終わります。
審査に合格すれば良いのですが、不合格(リジェクト)となった場合には、その対応をした上で再度審査してもらう必要があります。
不合格の内容によっては対応に時間がかかる場合もあるため、iOSアプリの場合にはリリース時期が読みづらいとも言えます。
もし、リリースに合わせて広告やPR、キャンペーンなどをやる予定があるのであれば、期日には十分に余裕を持たせてスケジュールしておく方が良いでしょう。
アップルの審査基準がアプリによって異なったり、時期によっても異なったり、アップルの審査の担当者によっても異なったりとなかなかこうすれば確実に合格するとは言いにくい部分もあります。
アップルの公式サイトをよく読むことも大事ですが、アプリの開発に慣れている開発業者だとこういう仕様やこういう機能だとリジェクトされやすい、リジェクトされにくいなどナレッジも溜まっています。
開発時の仕様検討時に意見を求めながら開発していくことをお勧めします。
アップルの公式サイト App Store Reviewガイドライン
アップルの公式サイト 一般的なアプリケーションの却下理由
審査にあたっては各プラットフォームに申請するためのアカウントを用意し、申請を行います。
開発会社が用意したアカウントで申請をするとプラットフォームに表示されるアプリ提供社名が開発会社の名前になりますし、課金アプリの場合の収益が開発業者に振り込まれるようになります。
だからといって、発注側がアカウントを用意し、申請するという手続きは慣れていないために大変です。
そのため、よくあるのは発注側がアカウントを用意し、開発会社にそのアカウントで申請作業をしてもらうというものです。
いかがだったでしょうか。
「はじめてアプリ開発を発注する際に注意するべき12のポイント」についてここまで説明してきました。
アプリ開発は通常のシステム開発よりもチェックすべきポイントは多くなり大変に感じられたかもしれません。
また、通常のシステム開発よりもアプリ開発の頻度の方が少ないため経験者が少ないという事情もあり、難しい点はあります。
アプリ開発に関してお悩みであれば私たちにご相談ください。
確実にメリットがある情報をご提供させていただきます。